自粛生活により消費者のアルコールニーズは減ったのか?レシートから読み解くコロナ禍中の「飲酒」に関する行動変容 vol.2【昨年からの変化】
2022年9月9日
ONE MAGAZINEでは2021年6月に、緊急事態宣言発令における小売業、飲食業が受けた影響から、消費者の「飲酒」に関する行動変化を分析しました。今回は前回と同じ観点でデータ分析し、2021年6月頃と比較した消費者行動の変化を調査しました。
新型コロナウイルスに関わる国の動き
一都三県の業態別レシート枚数比率
上のグラフは一都三県の業態別の収集レシートの枚数を表したものです。2021年7月に発令された4回目の緊急事態宣言以降、スーパーとコンビニの利用割合が減少傾向になっていることがわかります。しかしその傾向もすぐ終わり、利用傾向が増加したのち、年末にかけて再度利用割合が減少しています。
一方、飲食店(レストラン)の利用割合は年末年始にかけて増加が続いています。年末にかけて利用割合が減少しているスーパーやコンビニの傾向も考えると、食品を買う代わりに外食をする人が増加したことが推察できます。
年末にまん延防止等重点措置は適用されていたものの、緊急事態宣言は4回目以降発令されておらず、忘年会シーズンで外食が増えたことが分かります。
都心と郊外の購買比較
上記グラフは、東京都を都心部(千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区、文京区、豊島区)と郊外(上記区以外)におけるコンビニ、スーパー、飲食店の売り上げ推移を比較したものです。(対数目盛表示)以下ではコロナ関連のニュースと合わせて特徴的だった変動を抜粋してまとめます。
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4回目の緊急事態宣以降(2021年7月)
緊急事態宣言発令直後は、大きな影響を受けていないことがわかります。それ以前に出ていたまん延防止等重点措置による外出自粛が続いていたためかと思われます。 -
緊急事態宣言対象地域の拡大①(2021年8月初旬)
全体的に利用割合が減少傾向にあることがわかります。都心のコンビニの利用割合が減少している時に郊外のスーパーの利用が伸びていることからも、人流が抑えられていると推測できます。緊急事態宣言の対象地域拡大によって、集計範囲内で外出する人が減少したことも原因に考えられますが、対象地域の『拡大』により各々ができる範囲で感染拡大防止に努めたものと推測されます。 -
緊急事態宣言対象地域の拡大②以降(2021年8月中旬)
夏休み期間が終了する9月頃まで、全体的に利用割合が増加傾向にあることが分かります。このことから、緊急事態宣言の抑止力が弱くなり、都心も郊外も活動が活発になってきています。
ノンアルコールの購買数が大幅に増加。背景には健康志向の影響も
新型コロナウイルスの影響によりライフスタイルそのものが大きく変化し、それは酒類の購買数においても変化をもたらしました。
- 商品別ノンアルコールの購買数
- コンビニ・スーパー別ノンアルコールの購買数
- 一都三県別ノンアルコールの購買数
上記グラフはノンアルコールビールの購買数をグラフにしたもので、2021年1月以降急激に増加していることがわかります。
これはライフスタイルの変化に伴う健康意識への変化もあると推測でき、自粛生活による外出や運動の減少、その結果体重が増加する懸念からの影響であると考えられます。体に不要なものの摂取は極力避けたいというニーズが増えることは想像に難くありません。
カロリーは多くがアルコール度数に比例する為、ノンアルコールビールのカロリーは抑えめで、アルコール分が無い分肝臓への負担もありません。加えて、含有プリン体もビールに比較すると半分程度で、プリン体ゼロの商品も多く「糖質ゼロ」「プリン体ゼロ」「香料・甘味料無添加」など、自分好みの種類を選べるのもノンアルコールビールのメリットとなります。
これまでは車を運転する時や授乳期の際等、アルコールを摂取できない人向けの印象が強いノンアルコール飲料でしたが、単に代替品としてだけではなく幅広いシーンや目的で飲用されるようになってきています。
参考記事:【ノンアルコールビールと健康】肝臓に良い?太る?運転はOK?キリンビールさんに聞いてみた
まとめ
前述した内容から、昨年のレポートと比較し以下のような変化があることが分かりました。
- 都心のコンビニ利用や郊外のスーパーの利用状況から、人の流れは抑制できている。(4回目の緊急事態宣言発令時)
- 年末年始は時期的なものとオミクロン株の影響もあり、スーパー等で食材を買い込む割合 が増加した。
- 昨年の記事作成時と比較すると、外食などの楽しみに触れ始めている人が増えてきている。
- 健康志向等の理由からノンアルコール需要が増加している。
昨年時と比較すると、外出や外食の機会が増え始めただけでなく、ライフスタイルの変化からアルコールへのニーズも多様化してきていることがうかがえます。
今後さらに新しい需要が増えていくのか、または以前のような需要へと戻っていくのか、これからの動向に注目していきたいと思います。
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