保険証券の情報を活用して、保険業界をアップデートする
代表取締役社長 COO 尾花 政篤
株式会社hokan(以下、hokan)は2018年7月24日にワンファイナンシャル株式会社(以下、ワンファイナンシャル)が提供する画像買取アプリ「ONE」にて保険証券の買取を実施しました。開始わずか30分で1,250枚の保険証券を買い取った今回の取り組みについて、hokanの尾花様にお話を伺いました。
保険CRMサービスのhokan、画像買取アプリ「ONE」と提携し保険証券の買取を実施
まずはじめに、御社のミッションについて教えてください。
「保険業界をアップデートする」ということをミッションとして掲げています。保険業界をテクノロジーで刷新するということです。対象としているのは保険会社・保険営業・一般消費者の3者で、保険会社に対しては「InsurTechJapan」というメディアを展開し、保険営業にはCRMツール「hokan™️」提供しています。一般消費者向けのサービスは現在検討段階ですが、ワンファイナンシャルとの協業は、一般消費者向けサービスの開発を見据えての取り組みでした。
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保険業界の抱えている課題とは何でしょうか?
日本の保険マーケットはテクノロジーの導入が遅れており、システムが作業効率の向上に貢献できていないことが課題です。保険は息が長い業界で、契約期間が数十年という長期間に渡ります。そのためシステムもアップデートできずに、古いまま残ってしまっているケースが多いです。その結果、営業ツールのUI/UXも一世代遅れていて、顧客のフォローが綿密にできていません。その意味で、業界を全体的にアップデートする必要があると考えています。
今回、ONEを利用して保険証券の買取を実施しました。保険証券の価値とは何でしょうか?
保険証券からは、保険の契約状況はもちろんのこと、家族構成や所有車両といった様々な情報を把握することが可能です。また、集めた保険証券でデータセットを作れば、年齢・居住地域・家族構成・世帯年収などから個人個人に最適な保険商品をレコメンドすることができます。そうすることで、保険営業の業務を効率化することができますし、一般消費者には保険料をカットできるなどのメリットがあります。ONEがレシート買取アプリとしてリリースされた際には非常に大きな話題を呼びましたし、この仕組みは一刻も早く保険業界に活用すべきだと思いました。
ONEにとっても、レシート以外の画像を買い取るのはhokanとの提携が一番最初となりました。
おそらく保険証券の画像を買い取りたい会社はたくさんあるだろうと考えていたので、彼らが動き出す前に実行に移しました。その点、ワンファイナンシャルの対応はスピードが早く、大変助かりました。本件を最初にご提案させていただいたとき、「やりましょう」とすぐ言ってもらえたので、タイミングを逃さずキャンペーンを実施できたと思っています。ONEの知名度の高さもあって、創業1年目のhokanも、保険業界に名前を知っていただくことができたと感じています。
30分で1,250枚の買取という結果ついてはどのように考えていますか?
これは想定外の早さでしたでした。当初は、保険証券を探し出す作業や、個人情報を提供するリスクも踏まえて、集まるまで1週間くらいかかるかなと見込んでいました。キャンペーン開始のプレスリリースも準備していましたが、出す間もなく終わってしまいましたね。
買い取った保険証券から、どのようなことがわかりましたか?
保険証券の画像からは、契約日が古く更新されていない契約、契約日と商品内容から推測して保険営業担当のノルマのために締結に至ったであろう契約、年齢や世帯所得とマッチしておらず最適ではないと想定される契約など、多数存在することがわかりました。また、新旧様々な保険証券が集まったので、その比較から見えてくることもありました。たとえば、今年の4月に生命表(生命保険の保険料等算出の元となるデータで、日本では5年に一度厚生労働省が発表している)が更新され、保険料率も改定されましたが、それに気づかず高い保険料を払い続けていると思われる契約もたくさんありました。さらに今回のもう1つの目的として、保険証券画像の判別を自動化するためのデータ収集がありましたが、これについても一定の成果をあげています。分析の詳細につきましては、『「保険証券買取」および実施アンケートの分析結果のご報告』をご覧ください。
最後に、今後の展望について教えてください。
今回の取り組みはユーザーにとっても、自分の契約内容を再認識するひとつのきっかけになったのではないかと思います。このような個人個人の契約内容を集約することで、今後は保険を「見える化」したいと考えています。一般消費者や保険営業の方に対して、適切なタイミングでベストな保険商品を提供できるように、レコメンドを仕組化してゆきたいです。これらすべてをhokanでやるつもりはなくて、様々な会社と連携しながら、保険業界全体をアップデートしたいですね。保険証券を集めることについては賛否両論がありましたが、今回の取り組みを皮切りに、保険業界をよりよくしてゆければと思っています。